第2章 中編 古代都市シャンドラ
シャンクスの元へ向かっていたはずの彼女が、突然動きを止めた。
ーーーぁ…なに…これ
思い通りにならない身体。
ユーリの視界は、一瞬にして闇に包まれた。
「シャンドラを破壊しろ。そして神々を封印するんだ」
脳内に響き渡った声。
ーーーリョ…ウカ…イ
ユーリが手をかざすと、凄まじい衝撃波がシャンドラを襲った。
シャンドラの建物は無残にも破壊され、火の海となる。
ユーリは祭壇へと移動する。
当然、危険を察した神々が姿を現すが全ては一瞬の出来事で、間に合わなかった。
封印の文字が、至る所に刻み込まれる。
ユーリ一人の力とは思えないほどの威力。
空中に浮かんでいる戦艦からは、気味の悪い笑い声が響いていた。
「ゼハハハ!!まさか本当に操れるとはなぁ!」
シャンドラを裏切った家臣の一人であるティーチ。
彼は盗み出したユーリのデータを元に古代兵器の仕組みを解析していた。
そして研究と実験を繰り返し出来上がった、古代兵器を操作する電磁波。
与えられた時間が少なかった為、成功する確率は未知数だったが、上手くいったようだった。
それも、ユーリが弱っていた影響も強いだろう。
シャンドラの神々を封印し、古代兵器も無力化できれば、最早怖いものはなかった。
封印された神々の姿は、醜い果物の姿へと変わり果てる。
長きに渡り破壊を繰り返していた代償として、悪魔の実として汚名するのだ。
それもこれも、ティーチの悪趣味な提案だった。
シャンドラの中央に巨大な樹が生え、そこに神々は悪魔の実として封印された。
「神なんて、この世界に必要ねぇんだよ」
神は実際、人間には手を出さない。
しかし、5000年前からそうだが、彼らの争いに幾度となく巻き込まれていた。
星殺しといわれた古代戦争では、人類の半数が死に至ったと言われている。
数百年前に封印が解けてから、争いに巻き込まれて滅んだ国もある。
少なからずこの世界には、神の存在を恨んでいる者がいるのだ。
また、シャンドラだけが神から祝福されるのも面白くなかった。
ティーチの視線の先にはシャンクス。
彼は、ユーリにシャンクスを殺すよう命令した。