第2章 中編 古代都市シャンドラ
シャンクスは静かに上空を見上げていた。
ユーリがポーネグリフを掴んだのをみて、成功したのは分かった。
だが、その後の彼女の様子がおかしいのは明白で、シャンクスの表情は険しくなる。
全ては、ユーリに関する資料が盗まれたことで招いたことだと、彼は察していた。
誰よりもシャンドラという国を守ろうとしてくれた彼女。
そんな彼女に、こんなことをさせてしまった事実が、重くシャンクスにのしかかる。
明らかな殺意を持って、こちらに向かってくるユーリ。
もしここでシャンクスが殺されるようなことになれば、彼女は更に傷つくだろう。
シャンクスは能力を解放した。
恐らくこれが最後に使う力になるだろう。
ポーネグリフの行方は不明。
もしかしたらユーリが持っているかもしれないが、今優先すべき事項は戦艦の破壊だ。
これ以上、ユーリを悲しませたくなかった。
「裏切った挙句おれの大切な者を利用するとは、死ぬ覚悟はできてるんだろうな?」
ユーリの攻撃をかわし、一瞬にして上空へ舞い上がり戦艦の前に現れたシャンクス。
彼の持つ剣先が、空全体を斬り裂いた。
一瞬の静寂の後、真っ二つになった戦艦。
程なくして爆発音と共に湧き上がる悲鳴。
パリン
シャンクスの身体から、何かが割れる音が響く。
彼の身体は、ゆっくりと地面に落ちていった。