第2章 中編 古代都市シャンドラ
気が付くとシャンクスはシャンドラに戻っていた。
荒れていない街並みを見ると、ユーリ達がこの国を守ってくれたのが分かった。
上空を見上げれば、爆発音と共に火花が飛び散るのが見える。
今こうしている間にも、ユーリ達は戦い続けているのだ。
「シャンクス!」
戦いに参戦するべきか迷っていると、程なくして争いが終わったのかユーリが彼の元に舞い降りてきた。
片腕の彼女を抱きとめると、久しぶりの感覚に安堵の息を漏らす。
「かなりの負担をかけたみてぇだな。すまない」
「このくらい大したことないよ。それよりも…」
ユーリの視線の先には、シャンクスの手元にあるポーネグリフ。
彼女が言わんとしてることが分かった彼は、提示された条件を彼女に話した。
「そっか。予想してたよりも厳しい条件だね」
ユーリは顎に手を当てて何かを考え込んでいるようだった。
シャンクスは多くの命を背負っている。
一体何人の命を犠牲にすれば、この戦争を終わらせれるのだろうか。
シャンクスはその責任の重さに、耐えきれるのだろうか。
「もう決めたことだ。おまえが気にする必要はない。それよりも、おれはおまえを…」
ユーリを犠牲にすることが、何よりも辛い。
言葉に詰まったシャンクスを、ユーリは優しく抱きしめた。
国王としては、民の命を犠牲にするのが辛いだろう。
ただ、一人の男としては、ユーリ一人の命を犠牲にするのが何よりも辛かった。
それが例え、永遠に約束される平和のためだとしても。
その未来に、彼らはいないのだ。