第2章 中編 古代都市シャンドラ
シャンクスは暗い洞窟の中を歩いていた。
何時まで経っても先が見えない道に、正直嫌気がさしてくる。
感覚的に、数週間は歩いているような錯覚すら陥っていた。
だが不思議と空腹も睡魔もやってこない。
それがかえって不気味だった。
ーーーユーリは大丈夫だろうか
ここに来てから彼は、ずっとそのことばかりを考えていた。
損傷が直らなかった彼女。
そんなユーリを置いて行くのは、心配で仕方なかった。
「……?」
そして歩き続けてどれくらい経っただろうか、目の前に巨大な扉が現れた。
一瞬開けるのを躊躇ったが、彼はゆっくりとその扉を開く。
漏れてきた光に一瞬目を細めるが、次の瞬間彼は目を見開いた。
ーーーなんだこの空間は
目の前に広がったのは、夜空。
いや、違う…のか?
暗い空間の中に見える、無数の星と惑星。
背後の扉が閉まると、彼の身体が突然浮いた。
ーーーようこそ、世界の果てへ
困惑しているシャンクスの元に聞こえてきた声。
辺りを見渡すが、誰もそこにはいなかった。
ーーー盟約を結ぶ為の条件を、伝えましょう
その言葉に、シャンクスはハッとする。
脳裏に過ったのは、ユーリと過ごした最後の夜での会話だった。