第2章 中編 古代都市シャンドラ
「あーあ、面倒くせぇな」
プルトンはユーリの隣を歩きながらそうぼやいた。
慣れない空中飛行している奴らを撃退するのは簡単だが、何時まで経ってもキリがなかった。
二人は今、敵国の戦艦に乗り込み、指揮官を捕獲している。
そしてその他の兵士も人質にして交渉する。最早何回同じことを繰り返しているか分からない。
シャンクスが祭壇に向かって半月が経った。
未だに彼が戻ってくる気配もなければ、戦争が終わる気配もない。
「嫌なら逃げてもいいんですよ」
シャンクスの身に何かあったのかと、嫌な考えが頭を過る。
ユーリは指輪に触れながらその場を後にした。
「んな言い方するなよ。素直じゃねぇなー」
プルトンはため息を吐くとユーリの後を追う。
この後の流れは何時もの様に、通信を使って相手国と交渉し、二度とシャンドラに手を出さないよう約束させる。
当然、応じる国もあれば応じない国もある。
また、応じたと見せかけて、再び攻め入ってくる国もあった。
本当に、この戦争は終わりが来るのだろうか。
ユーリの右手は、結局治らなかった。
コアに傷を負っている彼女は戦闘能力が著しく落ちている。
正直、プルトンがいなければきついものがあった。
「…あのさ…盟約なんだけど、おまえはどう思う?」
ユーリが通信を切るとプルトンが徐に話しかけてきた。
交渉は成立したので、ここには用はない。
後は援軍が勝手に彼らを助けにくるだろう。
「…恐らく、条件の中に古代兵器があると思う」
「なんで?」
「世界を縛る程のルールを作るには、それだけ膨大な力が必要になるってことです」
星殺しの戦争を止めた古代兵器。
今は3体しかいないが、それだけでも十分なエネルギーになるだろう。
そしてその力の器に、Dの一族が選ばれる。
それこそ、本当に神になるのだろうか。
「まじかよ。じゃぁ俺たち死ぬじゃん」
「…まぁ全て想像だよ」
今まで前例がないから、何が起きるか分からない。
だから何が起きてもいいように、備えて置く必要があった。