第2章 中編 古代都市シャンドラ
ユーリの提案に、本来なら側にいてくれるだけでいいと伝えるべきなのだろう。
機械である彼女に、無理を強いる必要はない。
普段の彼なら、きっとそう答えていた。
「…じゃぁ、触ってもいいか?」
しかし彼の答えは決まっていた。
今までは彼女の損傷に気を使って遠慮していたが、ユーリから提案されるのならこのチャンスを逃すわけがない。
ユーリはそういう意味で言ってないのは分かるが、かと言って遠慮する気はなかった。
ユーリから了承の言葉を貰うと、シャンクスは抱え込んでいた彼女をそのままにベットへと移動する。
そして白いシーツの上に押し倒すような形で覆いかぶさると、ユーリはただ大人しく、シャンクスを見上げていた。
愛もセックスも言葉だけは知っているし、知識も少しはあるのだろう。
その知識が、果たしてどの程度のものかは分からないが。
シャンクスは苦笑すると、ゆっくりと口づけをした。
舌で唇を舐めれば、緩く開かれて口内に誘い込まれる。
彼女から積極的に動くことはしないが、絡められた舌に懸命に答えようとしているのが分かる。
そんな姿にシャンクスは目を細めると、滑らかな髪に手を伸ばす。
手触りの良いその髪質は、彼女が機械だと微塵も思わせなかった。
片手で頭を固定すると更に深く唇を貪り、空いた手で服を脱がせる。
「…っ…ん…」
口付けの合間に漏れる声に、ゾクリとしたものが背中を這いあがる。
シャンクスは口づけを一旦止めると、既にはだけている首筋へと舌を這わせる。
緩く舐めて吸い上げるが、跡は付かなかった。
結構本気で吸い上げたので、跡が付かないのは間違いないのだろう。
その事実を彼は少し残念に思った。
「…ど、どうして舐めるんですか?」
シャンクスがユーリの皮膚に舌を這わせていると、耐え切れなくなったのか彼女が疑問の声を上げた。
その言葉に、彼は一瞬だけ視線を向ける。
そこには、困惑したような表情の彼女がいた。