第2章 中編 古代都市シャンドラ
シャンクスは、今も忙しく動いている。
本当は休むべきなのだろうが、国王である以上そうもいかないのだろう。
ユーリはベットに横になると、天井を仰いだ。
あれからシャンクスは、ユーリに触れてこないどころか会話すらまともにした記憶がない。
それは彼が忙しいのもあるかもしれないが、ユーリは違和感を覚えていた。
機械である彼女が理解できる感情など単純なものしかない。
あれだけ愛を伝えられて、いざ突き放されると疑問に思ってしまうのだ。
しかしかと言って、何をしてほしいのか問われても分からない。
本当に、人間の考えてることは理解できない。
---私から歩み寄るべきなのか
シャンクスにはだいぶ世話になった。
だから彼の命がある限り、出来るだけの事をしたかった。
何をしたらいいか分からないが、時間は残されていない。
ユーリは起き上がると窓を開けて街並みを見下ろした。
シャンクス本人に聞いてもはぐらかされる可能性がある。
ユーリは目的の人物を見つけると、部屋に来てもらうよう窓から呼びかけた。
「好きな相手に何をされたら嬉しいでしょうか?」
ユーリの知っている人物など限られている。
だからとりあえず、一番聞きやすい彼を呼んだ。
「は?何って………とりあえずエロいことされたら嬉しいんじゃね?」
予想外の質問をされ、エースは返答に困りそんな事を口走ってしまう。
「なるほど、それでエロいことって…」
「あーわりぃ、おれ用事があるから行くわ」
エースを捕まえて色々質問しようとしたが、1分も経たないうちにそそくさとその場を去ってしまった。
引き止めようとするが、彼の逃げ足は早かった。
「エロいこと?うーん……なんか運動するって聞いたぞ?」
「運動?それは走ったりですか?それとも何かの競技?」
「そうだなぁ、300mを全力で走ったような感じだって聞いたぞ」
「…300mを…全力……部屋の中で…だと?」
エースの次に捕まえられたのはルフィだ。
彼はすぐにその場を立ち去らなかったが、ユーリの疑問は増えるばかりだっだ。
好きな人に部屋の中を全力で走られて、人間は喜ぶのか?
やはり、人間の考えていることは分からなかった。