第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
「俺はルフィって言うんだ!お前の名前は!?」
ユーリの表情が怪しいにもかかわらず話しかけてくれたルフィ。
ユーリは慌てて隣に座っていたルフィへと視線を送り自己紹介をした。
その後、二人で暫く話に花を咲かせていた。
その様子をシャンクスは酒を飲みながら静かに見ていた。
……ユーリ…ね。
当然だが聞いたことのない名前だ。
シャンクスは残りの酒を煽ると、再び二人へと視線を戻した。
こうやって見てみると、ただの子供にしか見えない。
ルフィは昔の自分に似ているところがあるから、何かと気に留めていた。それにロジャー船長の面影も見える。
きっと彼は、将来自分を超えるだろう。
そんな思いもあり、シャンクスにとってルフィは特別な存在だった。
だが、彼女はどうだ?
会って一日も経ってないのに、未だに彼女のあのキラキラした瞳が忘れられずにいる。
流石のおれもガキには興味はないが、何かが引っかかるのだ。
引っかかるも何も、覇気を浴びても平気な辺り、違和感しかない。
シャンクスはカウンターに肘をつき、茫然とした表情でユーリを見てた。
運ばれてきた料理を美味しそうに頬張りながらルフィと話す彼女は、どこからどうみて普通の子供にしか見えない。
湧き上がる疑問に答えなど見つかることもないが、シャンクスの心は何時の間にかユーリのことを考えていた。
…流石にこいつだけ連れて行ったらルフィは怒るだろうなぁ
ふと考えついた内容に、シャンクスは苦笑を漏らした。
ルフィもユーリも親がいないし、年もほぼ近いだろう。
戦闘能力があるとも思えないが、今ここでこいつを手放すのは惜しい気がした。
二人の違いは何だろうか。
勿論ユーリ相手に恋愛感情なんて持ってないが、強いて言うならただの勘だ。
こいつはここで一度離れたら、暫く会えない気がする。
そう、感じていた。