第1章 死人に口有り
「この見えなくなった目も、あの時の報いだって分かってるわ。これは私の咎。一生背負っていかなければならない咎なの」
女は自分を責め終え、ただただ二度と開く事のない瞳から涙を零した。彼女の言葉を聞き届ければ、銀時は己の意識が遠ざかるのを感じた。それは少女が銀時の体を完全に支配する感覚だと悟り、銀時は抗う事なく身を任せる。ここから先は、ただの傍観者だ。
「……そうよ、その通りよ。こんな死に方をする為に生きてきたんじゃないんだから、私」
「え?」
突然歩み寄られ、話かけられた女は嗄れた声で驚いた。
「……よくも。よくも、私の人生を台無しにしてくれたわね」
そんな女の反応は無視して、少女は厳しい音色で喋り続けた。それは、生きられた時間を消されてしまった恨み言。
「よくも、私の未来を壊してくれたわね」
輝かしい、人間が経験する困難も成功も味わう事なく逝ってしまった事への怒り。
「よくも、私の幸せを奪ってくれたわね」
本当は彼氏も作りたかったし、結婚もしたかった。子供も欲しかったし、親孝行もしたかった。そんな平凡な幸せを失ってしまった無念。
「……よくも」