第3章 【に 雛鳥、親鳥と出会う】
思考が停止する。
ぴしり、と固まったまま動かなくなってしまったヒナに、鳳凰が慌てた様子で羽をぱたつかせた。
「む、娘!? いかがした!?
病か、病なのか! ならば床を用意しようぞ!?」
大きな身体を揺らしながら、
どすどすとヒナの周りを歩き回る。
その姿には似合わない、素敵な慌てっぷりに、
ゆっくりと思考回路が動き出す。
「……ぷっ。あははっ!」
同時に吹き出した。てかツボにハマった。
「なんと! やはり病か!」
「ち、違います……その、ツボに、ハマっちゃって……っ!」
失礼極まりないかもしれないけれど、
威厳ある風貌に第一声だったのに
この変貌ぶりはずるい。涙出ちゃう。
ひとしきり笑って、顔を上げた。
「私の姿、見えてるんですか?」
他の動物は見えてなかったみたいだから。
鳳凰だから見えてるのかな。
不思議に思って訪ねてみると、
佇まいを直した鳳凰が奇妙なものを見るような目を向けてきた。
「何をおかしなことを。この場に存在しているのだから当たり前だろう?」
「でも貴方以外に見えてないみたいですよ?」
「………………?」
お互い首を傾げて、黙り込んだ。