第6章 【ご 雛鳥、白の人達と出会う】
「え、ちょっ……待って……っ!」
本当に瞬きをする間程の時間で身体が浮いて、つぎに落下の衝撃が訪れた。
衝撃に一瞬息が詰まる。
抱えられた状態のまま、硬直してしまったヒナを見て、エースがカラカラと笑った。
「こんくらいでびびんなよ~!」
ゆっくりと床に座らされて、ようやく息を吐き出した。
痛い程刺さる数多の視線に、慌てて立ち上がろうとと足に力を込める。
「…………!?」
「ん?」
まさか。まさか、そんな。
たったあれだけのことで!?
「……腰が、抜けました」
顔がじわじわと熱くなっていくのを感じる。
ついでに突き刺さっていた視線が生暖かいものになってるのも感じてる。よーくわかる!
「ぶはっ!」
しばらくの沈黙の後、誰かが堰を切ったように吹き出した。
「腰が……!! 腰が抜けただってよ!!」
「随分可愛らしい小娘だなぁ!!」
「可愛い……!」
あまりの恥ずかしさに顔は自ずと下を向いて、手は赤い顔を隠す。
羞恥に悶えるヒナの肩を叩いたのは、意外にも笑っていないエースであった。
「わりぃ……またおれ、やっちまった?」
指の隙間からエースさんを覗き見る。
……しょんぼり垂れた耳と尻尾が見える気がする。
私はそれをフォローすることも出来ず、というか原因はこの人なんだけど。ただただ顔の熱が引くのを待った。