第3章 【に 雛鳥、親鳥と出会う】
「お、おぉ~! すっごい、おっきい樹だ……」
まるで森をくり抜いたみたいにぽかんと開けた空間。
そこを支配するかの様に、
巨大な、それは巨大な樹がそびえ立っていた。
どれくらい大きいかというと、屋久杉あるでしょ?
その数十倍太い。上に家一軒建っちゃいそう。
首が痛いくらい見上げてもその天辺は見えない。
単純に大きいからっていう理由もあるけど、
なんだろう。こう、影がかかっている様な……?
「は……っ?」
それは、バサり。と大きく翼を広げて。
長い長い、尾羽を蒼穹へと舞わせた。
赤い、炎の色を纏った大きな鳥。それは……
「ほう、おう……?」
感動とも、恐怖とも言えない震えが身体を襲う。
独特な雰囲気に圧倒されて、
無意識のうちに後ずさりをする。
大丈夫。
私の姿は見えてない。
このまま茂みに隠れて、やり過ごそう。
炎の鳳は、まるでそんな私を嘲笑うかの如く。
ゆっくりと目の前に舞い降り、小首を傾げた。
「ふむ……なぜ人の子がこの様なところに? 我に何用か?」
その目はしっかりと私の目を捉えていた。