第2章 【いち 雛鳥、夢で目覚める】
『夢』と結論付いてしまえば
あとに残るのは好奇心の塊だけ。
冒険なんて何年ぶりだろう。
最近はずっと忙しくて、
幼い頃みたいに無邪気に遊ぶ時間なんてなかったから。
「きっと時間になったらお母さんが起こしに来るよね……? それとも目覚ましかな?」
明日も普通にやることがあるし、
寝過ごしてしまうのは非常に困る。
でも、夢の中くらい自由に遊んでもいいよね……?
「流石に夢の中で遊んでるからって寝坊したりはしないよね! もしかしたら普段からこんな夢見てるのかもしれないし!」
ほら、よく言うじゃない?
夢は起きたら忘れちゃうって!
自分の中で言い訳じみた理由を並べ立てて、
遊ぶ理由を固めていく。
もうとっくに私の中では遊ぶ以外の選択肢なんて
ないのだけどね。
「……やっほーーっい!! 探検だーーっ!」
子供っぽい?
のんのん!無邪気と言ってちょうだい!
こんな時くらい、
野暮な現実なんて忘れさせて欲しい。
大きくぴょんっと兎みたいに砂浜の上で飛び跳ねて。
それからそれから。
私は力強く砂を蹴り上げた。
きっと今の表情はにんまり笑ってるんだろうな……
と思いながら。