第2章 【いち 雛鳥、夢で目覚める】
ある日、目が覚めたら知らない場所にいました……
え、いやまじで!?
映画とか小説のワンフレーズじゃないよ!?
見渡す限りの白い砂浜と青い海。
あと、森っぽい木々の群れ。
林とかそんな薄い感じじゃなくて、
もっと深いやつ。
「ここ……どこ……?」
私は別にキャンプ中とか、
旅行中だったりとかもしない。
ついでに言えばサバイバル中とかでもない。
ていうか私にサバイバルなんて無理です。
昨日は普通に自宅で眠りについた筈。
夢遊病患者ではないし、そもそも近所に海はない。
「うん。夢だ。これは夢だ」
それ以外に結論なんて見つからないでしょ?
その証拠に磯の香りだってしないし、
熱だって感じない。
全体的にふわふわ、ぼんやりしていて。
そんな雰囲気なのも手伝って、
夢の世界なのだと結論を出すのは
そう難しいことではなかった。