第2章 【いち 雛鳥、夢で目覚める】
駆け回ってみているけど、
辺りの景色は一向に変わらない。
相も変わらず見渡す限りの砂浜と海、
森が続いているだけ。
「う~ん、めっちゃ広そう」
他の島や大陸は見えない。人工物もなさそう。
このまま砂浜にいても、
これといった変化は起きない様に思えた。
「折角の探検だし、森の中に入ってみようかな。動物とかいるかもしれないし!」
森は鬱蒼と暗い雰囲気ではなくて、
ところどころから木漏れ日が入り込んでいるのか
全体的に明るい。
微塵も恐怖を感じなかったので、
躊躇いなく森へ足を踏み入れた。
目指すは中心地。
どこが中心かなんて分からないけど、
真っ直ぐに進んで行けば何とかなる筈。
逸れても砂浜に出るだけだろうしね。
「なにこれ。見たことない植物だなぁ」
森の中は今まで私が見てきたもの当てはまらない、
摩訶不思議な植物ばかり。
何故か葉っぱの模様がぐるぐるだったり、
枝が生きてるみたいにうねうね動いていたり。
いやまあ、生きてるんだけどさ。
そういう話じゃないわけよ。わかる?
もちろん、どこか見覚えのある植物もあったけど。
大半が知らないものばかり。
動物だって、
見慣れた姿形に似合わない角や爪が付いていたり。
かと思えば天使の羽みたいなのがついた子がいたり。
しかも何でだか(夢だからかな?)動物たちには
私の姿が見えていないみたい。
気配は感じるみたいなんだけど、
目が合わないし、近づいても首を傾げるくらい。
楽しくて、あっちにふらふら、こっちにふらふら。
そんなことをしているうちに、
どうやら森が開けた場所にたどり着いた。