【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第18章 Odontoglossum -特別な存在-
「……っ!」
その瞬間、隣のイルから冷たいオーラを感じた。
これは…イルの殺気…?
私がゾルディック家の執事に囚われ、水をかけられたと知った…あの時と同じ…。
そばにいちゃいけない…。
そう思わずにはいられなくて、気付いたら体が勝手にイルから一歩引いていた。
同時に、ヒソカさんの顔色が変わり、イルをじぃっと睨みつけていた。
「ゴンはボクの獲物だ。手出ししたらただじゃおかないよ…」
イルよりも強く禍々しい殺気ーー…
言葉通り、イルが手を出そうものなら、ヒソカさんが容赦無く問答無用で襲いかかって来るだろう。
背筋を嫌な汗が伝う。
春の陽気はどこへやら。
ただ寒気がしてジリジリと後ずさる。
「わかってるよ。これでもヒソカの好みは把握してる」
イルはヒソカさんにそう言うと、離れつつあった私の震える手をパッと取る。
「ごめん、リリィ。キミがいること一瞬忘れてた」
視線をイルの手からゆっくりと上にあげると、彼がほんの少し小さく笑った。
「ごめんね。もうしないから」
その小さい笑顔に、私はちょっぴり安堵してこくりと頷いた。
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