【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第15章 Purple Anemone -あなたを信じて待つ-
「私の待ち人はーー…」
私はそう言いかけて口をつぐんだ。
「いえ、なんでもありません」
言葉にしたら、本当にそうなってしまいそうで…。
心が押し潰されそうになる。
「不安ですか?」
「…少し」
…本当はそんなことない。
すっごく不安。
あなたに限ってそんなことないと思いたい。
でも、あなたの仕事のことも知ってるから一概にあり得ないとも言えない。
「私も…この本の主人公のようになってしまったんでしょうか?」
失うかもしれないと、待つだけしかないと思うと、怖くて怖くて仕方がない。
「いや、そんなことはない」
彼は私を安心させるためか、私に笑いかけてくれた。
「待ち人は…もうすぐそこだ」
え…?
「どうしてわかるんですか…?」
彼はフッと笑ってベンチから立ち上がり、また満月を見上げた。
「今夜は月が綺麗ですね」
「え、えぇ…。そうですね…」
なぜそんなことを急に言い出したのかわからなくて、戸惑いながら相槌を打つ。
私は彼の背中を見上げた。
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