【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第14章 Pink Tulip -愛の芽生え-
「殺るなら殺れよ…さっさと…」
男は腹をくくったのか、女を抱きしめながら苦しそうに言った。
女は涙を流し、男の胸に顔を埋めている。
「お前には大事な人がいないんだろ?だから平気で人を殺せる。感情も何も持たない冷たい人形だ」
大事な人…?
他人を尊ぶ感情なんて、とうに捨てた。
捨てさせられた。
それが家業を継ぐ一歩だ。
殺し屋として生まれ、殺し屋として死ぬ。
その間に、オレはゾルディック家のために、史上稀に見る才能を持って生まれたキルを一人前にして、完璧な暗殺者にする使命がある。
オレには選択権も自由も心もない。
あるのは、長男として家を繁栄させるために、家族のために、キルを当主にするために、オレは生きている。
オレの存在理由なんて、そんなものでいいんだ。
オレはゾルディック家の殺し屋なんだから。
それ以外に何もないから人を殺せる。
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