【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第9章 Tutsan -悲しみは続かない-
こくりと頷くと、イルミ様は私の前にまたしゃがみ込んだ。
「大丈夫?」
「はい…」
とは言ったものの、まだ震えが止まらない。
「すみません…。ど、動揺してしまって…っ」
ふぅ…と深呼吸して息を吐き、心を落ち着かせる。
「イルミ様…何と感謝申し上げたら良いのか…」
「いいよ、そんなの」
イルミ様が小さく笑ってくれたから、私も涙を滲ませて微笑んだ。
「怖がらないでね」
「え?」
何のことかと聞こうと思った刹那、私はもうイルミ様の腕の中にいた。
「イ、イルミ…様?」
突然のことでどうしたらいいのかわからなくて、ただされるがまま固まっていた。
「あ、あの、私汚れてますし…イルミ様のお召し物が濡れてしまいます…」
「いいから。じっとしてて」
イルミ様に抱かれながらふわふわした頭で、ただぬくもりを享受する。
こんなふうに…まるで壊れモノを扱うかのようにそっと抱きしめられたのは初めて…。
「オレはキミのこと、殴ったり怒鳴ったりしないからね」
その言葉に、私はハッと息を飲んだ。
やっぱりあなたは…私が出会ったどの男性とも違うわ…。
イルミ様の服を強く掴み、流れゆく大粒の涙を必死に堪えながら頷いた。
「はい…っ。ありがとう、ございます…っ」
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