【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第8章 Water lily -信頼-
私は背伸びしてイルミ様の首に腕を回し、ひしと抱きしめる。
「待ってます、イルミ様…」
だから絶対、迎えに来てくださいね…。
「ははっ。こんなの危機でも何でもないから」
彼が私の背中に手を回し、いつになく優しい声色でそう言ってくれた。
「…行って」
私は離れ難い気持ちを押し殺して踵を返す。
体にぐっと力を入れ、めいいっぱい走った。
管理人室の方に一直線に向かう。
鍵は黒服たちが壊したのか、開いたままになっていたのでそのまま入ってドアを閉め、奥に一旦身を隠した。
…良かった。
たぶんここには誰もいない。
とりあえずここに居れば安心ーー…
と思っていた私の視界を、白い光がいくつかチラついた。
咄嗟にカウンターの奥に隠れる。
窓の外から射してくるこの光…。
逃げた私を追ってきたのね。
黒服たちが懐中電灯を持って私を探してる。
きっとここに入ってくるのも時間の問題。
前にここに来た時、奥に裏口があったのは覚えてる。
でも、出てどうする?
ここから出たとして行き場所なんかーー…
カチャ…
ハッとして表のドアの方を見ると、ドアノブがゆっくりと回っていた。
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