【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第8章 Water lily -信頼-
「………」
何も…起きない?
やり過ごせた?
私はしゃがみ込んだままそーっと木陰から山道の方を覗き込む。
誰もいない…。
でも、この場からじゃ目の前にある草木が邪魔で、黒い車がまだあるかどうか確認できない。
音を立てないようにゆっくりと…ゆっくりと首を長くしてそっと草藪の奥を覗いたーー…
カチャリ
その瞬間、後頭部に冷たくて重く硬い何かが当たった。
ゾクリと背筋が凍る。
「やっと見つけたぜ、嬢ちゃん」
身動きが取れず、その場に凍りついたように固まるしかできない。
でも、動けない私の中で唯一働いている脳が、後頭部に突き付けられているその感触から、これはピストルだといち早く察知した。
「よく逃げ回ったもんだが…そろそろ潮時だ」
振り返る勇気もない。
ただぎゅっと目を閉じる。
引き金にカチャンと指が乗った音ーー…
その瞬間、銃を突きつけられた時よりも遥かに恐ろしい冷気が私の背後からゾワッと吹き込んだ。
震えが止まらない。
とても強い殺気が私を襲う。
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