第5章 ぼくの名前を呼んで
夢を、みていた。
赤い目のあの子が、
うつむいて泣いている。
その両手は何故か真っ赤に染まって。
『ねぇ、なんで泣いてるの?』
私の声は届かない。
どんなに手をのばしても彼には届かない。
お願い、そんなに悲しそうにしないで。
一人で泣かないで。
ふと、嫌な予感がして目が覚める。
なんだか、本当に今剣が泣いている気がした。
一人で、泣いているんじゃないかって。
そんなはず、ないのに…
あれは夢なんだから。
でも、なんだか気になる。
ちょっとだけ、探してみようかな。
さっと上着をはおると私は離れを出た。
………