第5章 ぼくの名前を呼んで
あれから他愛のない話をして、
みんなは母屋の方へ帰っていった。
『やっぱりちょっと寂しいな…』
本丸の方をなんとなくずっと見ていると、
不意に聞こえた声に驚く。
「どうして、さにわになろうとおもったんですか。」
声の主は今剣だった。
びっくりしすぎて死ぬかと思った…
今剣は、壁に背を預けていた。
大きな赤い目はじっと床をみつめている。
『母が…私が本丸を継ぐことを望んでいたから。』
「あるじさまが…」
『頼りないと思うk「にんげんはみんな、みがってです。あるじさまをころしたにんげんのいうことなんて、しんようできません。」
そう言うと、
今剣は大きな赤い目を歪ませ私を一瞥すると母屋の方へ行ってしまった。
今まで温かった心が、一気に冷めていく。
頼りないと思うけど、私なりに頑張りたい。
母の代わりは無理でも、みんなの力になりたい。
そんな思いで審神者に就任した。
でもやっぱり、
彼等から見ると私は母を殺した娘でしかないの…?
…………