第7章 始まりの挨拶
審神者side
伊達組からの朝食と自分で作った朝食を
しっかりと食べた私は、洗い物を済ませると早速挨拶をすることにした。
自分でも大分思い切った行動だったと思う。
でも、ここにきてから私を認めてくれた
何振りかの刀剣男士の存在が、
私の審神者としての気持ちを高めてくれた。
私が幼いころのように、
全員が私の存在に否定的ではないと知って
刀剣男士が変わりつつあるのに、
私が変わらないのはなんだか心苦しかった。
怖いけど、でもこのままじゃいられない。
前をしっかりとみつめて私は口を開いた。
『この本丸を正式に引き継がせていただきました。
よろしくお願いいたします。』
やった!ちゃんと言えた〜!
私えらい!頑張った!
大広間を見渡すと、
冷たい視線がほとんどであったが
あたたかい視線もちゃんとあった。
「お話は以上でしょうか。」
沈黙を破るように
そう言い放った声に一瞬怯む。
声の主は、一期一振であった。
一期一振粟は田口を束ねるトップであり、
私のことを非常によく思っていない男士の一人でもあった。
『あ、えっと、怪我をされている方は教えてください。
小さな怪我でも手入れさせて欲しいです。
それで話は以上です…』
粟田口の方から向けられる冷たい視線の多さに、最初のような勢いは消えて、
段々と弱気になっていく。
「それでは、失礼いたします。」
私の話が終わるなり、
一期一振は粟田口を率いて部屋を出ていく。
その様子を寂しい気持ちで眺める。
まぁ、意地悪なことは言われなかったし…
否定的な言葉もなかった。
最後まで一応、話を聞いてくれた。
一歩進んだかも?
そう思うと心が軽くなり嬉しくなった。