第3章 極の二人
『どうしたの?』
その声に五虎退と今剣は驚いて、
急いで声の主を見る。
そこにはかなり緊張した面持ちの審神者が
遠慮がちに立っていた。
泣いている五虎退を見て驚いている。
『あの…
怪我したのなら手入れしましょうか?』
心配そうに、遠慮がちに聞いてくる。
今剣は、はっと我に返り
改めて少女をみつめた。
胸が苦しくなって、
「けっこうです!」
そう言って、
五虎退の手をとって駆け出した。
そっくりだった。
顔も、声も、雰囲気も…
あまりに主にそっくりで、
飛びついてしまいそうだった。
彼女の存在を認めることができたら、
どんなに楽だろうか。
あるじさまと呼べたらいいのに…
でもきっと、
そんなことは許されない。