第7章 Heaven or hell
生まれて初めて人に興味を持った
先ずは周りから固めて行こうと、どんなクラスメイトにも隔たりなく明るく挨拶をして人懐こい笑顔を向けた
小学生の頃の俺も確かこんなだったはずだ
クラスにはすぐに打ち解けた
エリートなのにそれを鼻にかけてないだとか
爽やかだとか
何も知らない同級生達は、言わなくても勝手に俺の良いイメージを作り上げてくれる
『大野くん…だよね? コレ、落ちてたよ?』
『うわぁっ…!』
偶然拾ったおーちゃんの数学の答案用紙は赤点ギリギリで
『…点数、見たよね…?』
『うん、なんかごめん…』
『あー、もう! 恥ずかしい!
僕も相葉くんみたいに頭良かったら…』
『俺で良ければ…教えようか?』
週に2回
図書室で二人きりで勉強をするようになって
名前の呼び方も“大野くん”から“おーちゃん”へと変わった
おーちゃんは両親を亡くしていて、お父さんの後輩で弁護士をしている人の所に居候していると知った
“翔くん”と呼ばれるその人の話をする時のおーちゃんの表情は綺麗で可愛くて
恋をしているのは一目瞭然だった
俺も、おーちゃんみたいな恋がしたい
そんな風に、思ったんだ