第6章 君に触れて
冷蔵庫のペットボトルの水をキャップを外して手渡そうとしたけど、コウタは起き上がる事もそれを手で持つ事すら出来なくて
『ワガママ…言ってもいいかな…
ソレ…飲ませてもらえない…?』
『飲ませるって、どうやればいい?』
『口移しで…ダメ、かな…?』
コウタが酷く妖艶に見えてドキッとした。
身体の奥が、下腹部がキュッとなるような感覚。
…あの時みたいな強制的に引き出される感覚とは違う、何か。
それをこの時、コウタに感じていた
『…っ、口移しって…男同士でそんな、』
『あぁ…そっか…… ごめん…僕の感覚が普通じゃないのか… …痛っ…!』
『大丈夫⁉』
起き上がろうとしたコウタの身体を支えると、同じ男とは思えないほど華奢で。
『…飲ませるよ、水』
『無理しなくてイイヨ…』
『無理じゃない』
ペットボトルの水を一口含むと、そっと唇に近付けた
重なった薄い唇は3年前のあの時のモノとは違った
…不思議と嫌悪感はなかった
『…美味し』
ふわりと微笑んだコウタは
翼をもがれた天使の様に美しかった