第6章 君に触れて
『雅紀様!』
生瀬の制止を振り切って後部座席のドアを飛び出した
『大丈夫ですか⁉』
目と口には粘着テープが貼られていて顔には殴られたような痕がある
首の所でキツく縛られた結び目を解くより先に、袋ごと引き裂いた
『…っ!』
下着姿の少年は、手首と足首だけでなく、体育座りになるように腿と膝下も粘着テープで固定されていた
目と口を覆うテープを剥がすと、衰弱しきった哀しい笑顔を向けて
“助けてくれてありがとう。警察には連絡しないで”
と言ったんだ
着ていたコートをかけてやり、怪我をしているしかなり衰弱しているから一先ず別荘へ連れて行くと言うと、コクンと頷いた
『俺は雅紀。君、名前は…?』
『……コウタ。』
『歳は…?』
『……ジュウゴ。』
背丈も変わらない、同じ歳のコウタはまるで
心の中の傷だらけの自分を映し出しているかのように思えた
『あったかい…』
コウタは俺の手をギュッと握り、そして安心したかの様に眠りについた