第6章 君に触れて
「大野様のご兄弟の…二宮和也様、と仰られましたかな」
…そりゃそうだよな
名前を突き止めるくらい、お手のモンか
「…火傷にはくれぐれもご注意を。」
「火傷…?」
「火遊びなのでしょう?
遊び方を間違えると大変な事になる」
「ふっ… だったらお前はめ組の長だな、生瀬
ボヤ如きでも嗅ぎ付けて躍起になって消しにかかる」
「お誉めに与り、光栄です」
…勘付いてんだな、生瀬
流石だよ
「上手くやるよ ―――」
ホテルに着き、着替えを済ませて最上階のレストランへと向かった
「雅紀さん。お身体の方はもう善いの…?」
「この通り」
この7年で随分と綺麗になったと思う
最初の頃は『お兄ちゃん』と呼んでいたのに
『雅紀くん』『雅紀さん』へと呼び方が変わる毎に
俺に対する態度や話す内容も変わっていった
「…良かった。
それ…私に?」
「あぁ。いくつになった?」
「…15に、なりました」
「そうか… 時が経つのは早いね」
予め生瀬が用意した真紅の薔薇の花束
それを手渡すと、紗羅は頬を染めて微笑んだ
悪いな
ドタキャンしたあの日が紗羅の誕生日だったって事すら忘れてたよ
「遅くなったけど、誕生日おめでとう。紗羅」
「ありがとうございます。雅紀さん」
タイムリミットはあと1年、か…