第6章 君に触れて
「ふふっ。ただいま、おーちゃん。
はい、これカズくんの荷物」
「お帰り、相葉ちゃん。
あれ? 帰りはバイクじゃなかったの?」
「迎え寄越したんだ。
カズくんも疲れてるだろうと思って」
コイツの言葉に智さんがハッとした様な顔をして
そうだよね、疲れてるよねなんて急に俺を労り始めて。
「じゃあ、俺はここで」
「寄って行かないの?」
「今日は遠慮するよ。
またね、カズくん」
「…あっ、ありがとね相葉ちゃん! また連絡する!」
ドアが閉まる間際にペコリと頭を下げただけで御礼の一つも言えなかった、俺。
女の子とのデートをキャンセルしてまで勉強見てもらって、飯も世話になったっていうのに
「…眠ぃ……
ごめん、部屋行くね。その前に水…」
「あっ、うん。持ってくから先休んでて?
荷物ココ置いたままでいいから」
家に帰ってきたらドッと疲れが押し寄せて来て、睡魔も襲ってきて
俺、どれだけ気ぃ張ってたんだろ…
ベットに横になって目を閉じた
眠いはずなのにアイツの言葉が頭から離れない
『カズくんだから好きになったんだよ』
痛いくらいにドクン、と心臓が鳴るから
Tシャツの上からその場所をギュッと抑え込んだ
なんなんだ
どうしちゃったんだよ、俺 ―――