第6章 君に触れて
俺の、長い長い二泊三日が終った
しょっぱなでアイツに『好きだ』と言われてから変に意識しちゃって
その後は勉強どころじゃなかった
アイツの作る飯はきっと美味かったんだろうけど味わう余裕なんてなくて
シャーペンを握る右手とか
採点をする時の真面目な表情とか
無防備な寝顔とか
そんなんばっかり盗み見て…
風呂上がりの濡れた髪と、上半身裸にはさすがに焦った
男のクセに変な色気出しやがって
智さんの事も色っぽいと思ったけど
なんて言うか種類が違う。
サイドテーブル一つ挟んで並んだベットになんてさ
寝れねぇっつーの。
それなのに、コッチの気も知らないで向こうは平然としてんだからシャクに触る
しかも『寝れないなら添い寝でもしようか?』なんてさ
まぁ…思いっきりケツ蹴ってやったけど
「カズくんお帰り――――!!」
「おわっ…!」
家のドアを開けた瞬間、
「会いたかったよ―――― (泣)」
「ちょっ…兄貴っ…!」
いきなり俺に抱きついてきた智さんを慌ててべリッと剥がした
ギリギリ声には出さなかったものの
アイツが見てるだろ!って咄嗟に思ってしまった
…見てるから、なんだ?
なんで俺は、見られて焦ってんだ…?