第5章 最低で最悪なアイツ
「うん。これなら確かに合格圏内だね〜」
先ずは実力調べと、いきなり過去問を手渡されて。
量的には実際の半分とかなんだろうけど、“合格圏内”という言葉を聞いてホッとした
なんだ、勉強を教えてもらう程でもなかったじゃん。
智さん達を二人きりにする事が目的なら、なにもコノ人と山奥の別荘なんかに泊まりがけで来なくても、その辺の公園で寝泊まりすれば良かったのかも知れない
「だけど495点には到底及ばないかな。
当然そこを目指すんでしょ?」
まさか。
入学金と一年間の学費がかからないのは有り難いけど、さすがに今からどう頑張ったってそれは無謀でしょうよ
「不可能だって思ってる?」
「どう考えても無理です」
「やってもないのに?」
「…っ、」
挑発的な言い方にカチンときた
アンタはそれを可能にしたかも知れないけど、俺とアンタじゃオツムの出来が違うんだ
無理なモンは無理だろ
「俺ならミラクルを起こせるよ」
「はぁっ?」
「不可能を可能にしてみせる」