第5章 最低で最悪なアイツ
その日は意外にも早く目が覚めた
こんなんじゃまるで楽しみにしてるみたいじゃんか…!
いや、違うよ
きっと、多かれ少なかれ不安なんだ
なんてったって、最低で最悪な悪魔と二泊三日も一緒に過ごすんだから
荷物は先に送っておくからと、相葉家お抱えの運転手だという人がわざわざ取りに来た
当日はラフな格好でと言われているから、Tシャツにジーンズ、スニーカーという出で立ちで
斜め掛けの小さなリュックだけを持って
「カズくん、座ったら?」
「あ…」
落ち着きの無い俺を見て、智さんがクスクスと笑う
「楽しみ? それとも不安?」
決まってるじゃんか、そんなの、
「不安しか無いよ」
「そうなの? カズくんと相葉ちゃん、相性良いと思うけどなぁ?」
相性って何の⁉
つい、良からぬ事を考えてしまう
「じっくり教えてもらうんだよ?」
手取り足取り?
いや、結構ですからっっ…!
「相葉ちゃんがリードしてくれるから任せておけば大丈夫だって!」
だから、何のリードよ⁉
主導権⁉ 主導権の話⁉
…知らないとは言え、不安を煽るような事はマジで言わないで欲しいよ…