第5章 最低で最悪なアイツ
「来週、編入試験でしょ?
カズくんさえ良かったら勉強教えるよ? …り、ね…」
「ホントにっ⁉ カズくん、ここは是非相葉ちゃんにお願いしようよ!
僕、絶対カズくんと一緒に通いたい!」
最後はボソッと言ってたけど、バッチリ聞こえたよ
『手取り足取りね』って
智さんは気付いてないみたいだけど
「結構です」
「カズくん⁈」
「勉強はそれなりに出来るつもりだし、別に教わらなくなって…」
「バカだなぁ、カズくん」
はぁ⁉ 今、何気に俺の事disったろ!
『おーちゃん達、たまには二人っきりにさせてあげないと。ね?』
そんな風に言われたら。
「……宜シクオ願イシマス。」
「何? 相葉ちゃん、今カズくんに何を耳打ちしたの⁉」
「んー、秘密!」
コイツ、絶対悪魔だよ!
優しそうな顔して、最低で最悪の悪魔だ!
…だけど。
智さんのあの艶っぽい声は、あの晩以来聞いていない
俺が居るから我慢させてるんだとしたら…申し訳無い
ベッドに2つ並んだ枕をチラッと盗み見て
溜息を一つ、吐いた