第5章 最低で最悪なアイツ
「くふふっ。 大丈夫? 顔、紅いけど」
…多分この人は、知ってるんだ
智さんと翔さんの関係を
「こんな大っきなベッド見て、色々想像しちゃった?」
「ばっ…!」
からかわれた!
耳元でそんなデリカシーの無い事言うなんて最低だ!
ムカつく! なんなのコイツ!
「ばっかじゃねーの!!」
思わず大きな声を出しちゃって
「シーッ。おーちゃんに聞こえるよ?」
唇に当てられたコイツの人差し指
それにコレ…壁ドンって言ったっけ
なんなのこの絵面は⁉
「離れろよっ…!」
「つれないなぁ」
ギッと睨みつけてもそんなのまるで通用しないとでも言う様に爽やかな笑顔を向けて
ソイツは壁に突いた手をスッと離した
「仲良くしようね、カズくん」
「なっ…!」
仲良くなんてするか!
智さんのトモダチじゃなかったらブッ飛ばしてる所だ!
「お待たせー!
どうかした? 二人共」
「…っ、ナンデモナイヨ」
ソイツとはなるべく距離を取りたくて、智さんの隣りにピタッと座った
そんな俺に智さんは『甘えん坊だね』って微笑うけど
智さん、ぜってぇーコイツに騙されてる!!