第5章 最低で最悪なアイツ
「うーん、ツンデレ!
そこがまたイイ!」
何処にデレの要素があったんだよ
褒めちぎるのは智さんの心象の為?
俺に気に入られればポイントが上がるとか思ってる?
甘いな。
そうは問屋が下ろさないぞ…!
「相葉ちゃん、カズくんと一緒に先に僕の部屋行ってて?
飲み物持って行くから」
「了解! 行こう、カズくん!」
『カズくん』は智さんの専売特許なんだよ!
アンタに呼ばれたくねー!
差し出された手を明らかに無視すると
ソイツは困った様に眉を下げて苦笑った
俺の部屋の前を素通りする所を見ると、智さんの部屋の場所を知ってるんだ
俺にとっては未だ入った事のないその部屋にこの人は出入りしてるんだと思うと、なんだかおもしろくない
「おじゃましまーす」
「…っ、」
初めて入った智さんの部屋には、どうしたって目が行ってしまう程の大きなベッドが鎮座していて
「カズくん? どうかした?」
「へっ…?」
迫力満点のベッドなんか見ちゃったらさ…
あの日の智さんの艶っぽい声が悪戯に脳裏を掠めて
カッと顔が紅くなってしまった