第5章 最低で最悪なアイツ
やっぱり黒のTシャツにしようか
そう思った時、玄関の扉が開く音が聞こえた
「やばっ!」
慌てて部屋を飛び出して玄関に向かう
「お帰り兄貴!」
「ただいま、カズく… ぐはっ!」
そのまま突進するかの様に智さんに抱き着いた
扉の後ろにチラッと見える足
智さんと同じ制服のズボンだ
「どうしたの(笑)」
困った様に笑いながら俺の頭を撫でる智さんの声は優しい
寂しかったと思われてんのかな
それならそれでいい
「どうもしない。 待ちくたびれちゃっただけ」
「もう、可愛いなぁ。
それ着たんだね。 よく見せて?
やっぱ似合うね! カズくん可愛…」
「めっちゃ可愛いっっ!!!」
智さんに被せて一際デカイ声で発したのは、視覚の隅っこに居た筈の
「かーわーいーい――――!」
お前が智さんのトモダチとかいう奴か。
って言うかウルサイよ
モデル並みの高身長に茶色がかったサラサラの髪
イケメンの部類だっていうのがまた気に食わない
眩しいくらいの笑顔を振りまいてるけど騙されないからな…!
「話には聞いてたけどほんっと可愛いね!
マジヤバイ!
あっ。俺、相葉雅紀! ヨロシクね!」
「……どうも」
先ずはジャブ程度に、思いっきり素っ気なくて愛想の無い返事をしてやった