第5章 最低で最悪なアイツ
変なライバル心がムクムクと湧き上がる
友達なんて言ってるけど、実は智さんの事狙ってたりして…
智さんも智さんで、フワフワしてるからそんな事にも気付かない、ってのもあり得る
智さんは翔さんの恋人だぞ!
んでもって、俺の兄貴だぞ!
こりゃ牽制が必要だな…
一人で悶々としながら、さてどうやって出迎えてやろうかと考える
ここは絶対的に仲良し兄弟っぷりを見せつけるべきだ
出来れば、智さんの方が俺を溺愛してる風な…
「よし、」
一先ず部屋着からちゃんとしたのに着替えよう
買い物に行った時に智さんのイチオシだったアレ
趣味じゃないけど、智さん的にアレが一番俺に似合ってるらしいから…
自室に戻ってクローゼットを開けて
目的のブツを手に取った
「うーん…」
どこをどう見て大絶賛されたのかは分からないソレは
スカイブルーのシルクの半袖のジャージで背中から胸にかけてピンクの大輪の花が描かれてる
「派手だ。派手過ぎる… でも着る!」
無地のピッタリ目の白Tシャツの上にソレを羽織り、ジーンズのハーフパンツを履いて長く伸び切った前髪を留めるカチューシャを着けた
「女みてぇ…」
姿見に映る自分自身にガックリと肩を落とす