第5章 最低で最悪なアイツ
「さて、と。 洗濯、洗濯」
家事はアシスト程度で充分と言われたけど
ドラム式の洗濯機の使い方に、お掃除ロボットの使い方
IHの使い方と風呂のお湯の張り方を教えてもらった
居候させてもらってるんだから、やっぱり家事位は出来るようになりたいじゃん?
翔さんには仕事が、智さんには学校があるんだからさ
「コレってどんくらい入れるんだ?」
柔軟剤のボトルと暫しにらめっこする
「内側の線まで、か。 オッケー」
今の世の中って便利だよな
何でもかんでも家電がやってくれる
洗濯機が回り始めたら、もう俺の仕事は無くなってしまった
そのまま乾燥までって言われたけど…天気もいいし、ベランダに干そう
ソファーに座っててもなんだか落ち着かない
つい先日まで追われる日々だったのが嘘のように、此処では時間の流れがやけにゆったりとしているように思えた
〜♪
「わあっ!」
突然鳴った、俺の黒いスマートフォン
《 寂しくなってない? 大丈夫?
古典の授業、つまんないよぉ(泣)》
〜♪
メッセージの後に立て続けに送られてきたのは
教科書に載ってる歌人の挿し絵にされた、落書きの写真
「上手っ」
落書きの域を超えちゃってアートじゃん!
無駄に上手い。
てか、授業中に何やってんの!