第5章 最低で最悪なアイツ
「ホントに大丈夫?」
「大丈夫だってば!」
「むぅ… 心配だなぁ。
何かあったら電話かメッセしてよ?
お昼ご飯ちゃんと食べるんだよ?
それから…」
「わかった!わかったから!
遅刻するからハイ、行ってらっしゃーい!」
先に翔さんを。そしてたった今、制服姿の智さんを送り出して
俺は初めてこの家で一人きりになった
此処に来てから3日目。
何かと世話を焼きたがる智さんには未だ戸惑う事もあるけど、俺的には随分慣れたと思うんだ
先ず、智さんに対して敬語を使わなくなった
名前の呼び方も意識して“兄貴”って呼んでる
『さん付けはナシ! “智”で良いよ?』
『無理です』
『なんで!』
『だってアナタ年上でしょ!
さん付けがダメなら“兄貴”って呼ぶ!』
昨日、家族になった記念にと翔さんからプレゼントされたスマートフォンには
“翔さん”と“兄貴”
二つの名前が登録されている
“智さん”と登録したら“お兄ちゃん♡”と変更されて
更にそれを“兄貴”に変更した
一つのスマートフォンを巡って奪い合うようにそのやり取りをしてる俺達を見つめる翔さんの瞳は
凄く優しかった様に思う