第5章 最低で最悪なアイツ
「ま、じ、め、に、…」
扱いに慣れてないからメッセージを送るのにも時間がかかる
《真面目に授業受けて》
やっとの思いで返信した所で、お掃除ロボットが定位置に戻って『ただいま』と告げるから、身体がビクッと跳ねた
驚かすなよ、もう…
《はーい(´・∀・`)》
ふふっ なんかこの顔って智さんに似てる。
キリが無さそうだから返信はせずに、スマートフォンをテーブルに伏せて家事の続きに専念した
洗濯物干しは完璧な出来栄えだった
風にユラユラと揺れる洗濯物の中で一際目立つ、俺達のお揃いのパンツ
「やっぱイニシャルくらい書いとくべきだよな」
ベランダに漂うレモンの爽やかな香りに包まれながら
ユラユラ揺れる洗濯物をしばらく眺めていた
次のメッセージが届いた事を知らせる青いランプには
この時はまだ気付く筈も無く。