第4章 嘘つきは恋人の始まり
ビールジョッキに並々注がれたオレンジジュースとおしぼり、チョコレートやポテトチップの入ったお皿を目の前に置くと、ママさんが俺に名刺を差し出した
「この店のママの茂子です。
よろしゅう」
「……。」
…こんなに人が良さそうなのに
中学生の智さんをボーイズバーで働かせてたんだ
智さんは免れてたけど、店で働いてた他の子の事は客の男に売ってたんでしょ、
今でこそスナックになってるけど
ホントは悪い大人なんじゃ…
「ママは悪い人じゃないよ?」
「ふぁっ?!」
「ごめん、僕がちゃんと話さなかったから」
「ええよ、ええよ
そりゃあ警戒もするわな、こんな性別不明の訳わからん大人をいきなり紹介されたら、」
ケラケラと笑う茂子ママは、きっと良い人なんだと思う。
思う、けど…
「ボーイズバーをやってたのはホンマよ」
「でも僕を働かせてたっていうのは違うでしょ!
それにママは僕を助けてくれた恩人なんだから!」
恩人…?
この人が、智さんの…?
「色々端折り過ぎたね。
ちゃんと話すよ」