第4章 嘘つきは恋人の始まり
「まだちょっと早いかな。
どこかで暇潰す?」
「早いって何がですか?」
「あれ? 僕、言わなかった?」
「何も聞いてない!」
天然なのか
それともわざと?
“そうだったっけ?”なんて可愛く首を傾げたってダメだからな!
「今日は早く帰るから外で夕飯を食べようって♪」
「…さっきの翔さんからのメール?」
「うん♡」
……クソッ 可愛いな
「言うの忘れちゃってごめんね?」
「や、別に怒ってないし…」
…妬いただけだし。
「あっ。そうだ!」
「今度はナニ⁉」
「ママのとこ行こう!」
「はぁ?!」
ママ、って、だって
智さんのお母さんは…
じゃあ誰のママだよ?
翔さんの?
グイグイと腕を引っ張られて
連れてこられた先の表札…じゃなく、看板を見て全てを理解した
此処は、
「ママー! 居るー?」
「あらぁ。サト、いらっしゃい!」
やけに野太い声の“ママ”の居る
“スナック 戯言”という名の店なのだと