第3章 約束
『…は? ウソだろ…?』
『俺だって信じられなかったよ
金髪だったけどさ…マジで似てたんだよ、智くんに』
『…似てただけだ、』
『俺だってそう思いたいけどさ…!
だけど…
その子、呼ばれてたんだよ、名前
サト、ってさ…』
18歳未満の少年を働かせているとの情報が入ったボーイズバーを摘発する為に、客のフリをして潜入捜査をした小原が目にしたのは“サト”と呼ばれた、智に良く似た少年だった
『ガサが入る前に、』
『…あぁ』
小原だって違反を承知で俺に伝えてくれたんだ
俺が動かなきゃ…
智を、助けなきゃ…
教えてもらった店にすぐさま向かった
その日は台風が直撃していて、役に立たない傘を投げ捨てて
びしょ濡れになりながらその店のドアを開いた
『いらっしゃ…
あらやだ、お客さんびしょ濡れじゃない!
ちょっと!タオル!誰かタオル持ってきて!』
小指にだけ赤いマニキュアを塗ったマスターに呼ばれて出てきたのは
『…なんでだよ、智……』
『……翔くん…』
髪を金色に染めて
瞳に光を失った、智の姿だった