第2章 二人の関係
「コレいいかも! うーん、やっぱこっち?
あっ!コレなんかどう?
よし、決まらないから全部買っちゃおう!」
何件目かの智さんお気に入りのブランドショップに連れて来られてかれこれ30分以上
着せ替え人形よろしく、やれ、羽織ってみろだの、着替えて見せろだの
「じゃー次は…」
まだ買うの?
いくら翔さんから俺の今日からの生活に必要な物を揃えるように言われたからってもう充分じゃないの?
店員さんの顔が心なしか引き攣って見えるのは気のせいじゃないと思うんだ
「うん? カズくんどうした?」
どうした?じゃないよ!
ショップの紙袋はこれで6つ目
紙袋の多ささながら、双子コーデなんてしてるから行き交う人にはジロジロ見られるし、
「あー、そっか、ごめん!」
やっと気付いてくれた?
俺たちメッチャ目立ってるって
しかも悪い意味で!
「パンツ買うの忘れてた!」
ちょっとでも期待した自分を殴ってやりたい
お願いだから恥ずかしいから大きい声で『パンツ』とか言わないで!!
「買っちゃう? オソロで!」
16、7の男がオソロのパンツってどーよ
ギャグだとしても笑えないよ
だけど智さんの目は今までにも増してキラキラしてる
あー、もうコレ絶対避けられないパターンだ
今、俺が俺自身に言葉をかけてやれるとしたらこの一言に尽きるだろう
『ご愁傷様、俺。』