第10章 揺れる
「...っ、消えねーよ...!
軽蔑するかどうかはわかんねぇけどっ...」
「それでも俺の側に居てくれんの...?」
「居るよっ...」
そっぽを向いてそう言った俺を大きな塊が包み込んで
「な...何すんだよっ...!」
気付いた時には、チビな俺は逞しい腕の中にスッポリと収まってしまっていて
「ありがとう...」
「はっ...?」
「ありがとう、カズくん...」
「...」
安堵しきったその声に、腕を振り払うことも出来ずに
「...聞いて、くれる...?
俺の事、全部知って欲しい...」
「なんで俺...?」
「カズくんだから、かな...」
「なんだよそれ...」
「フフッ。なんだろうね」
フワッと笑った顔は、あの日別荘で見た優しい眼差しと同じで
あの日、たった一時でもコノ人にドキドキした事を思い出して
せっかく気の迷いだって結論付けたのに、またかよ
やっぱ俺、どうかしてる