第9章 貴方だけは消えないで
バンッ!
勢いよく開けた図書室の扉。
中に居た数人の生徒の視線が俺に集まる
...けど、その中にカズくんは見付けられなくて。
「相葉くん...? どうかしましたか...?」
常軌を逸する俺に、司書の先生が恐る恐るといった様子で声を掛けてきた
「すみません、なんでもありま...」
言い終える前に窓の外に見付けた、見覚えのある2つの背中
正門へと向かうそれは紛れもなく、おーちゃんとカズくんのもので
「失礼します...!」
俺は踵を翻し、今度は生徒玄関へと駆け出した
廊下は走っちゃいけません、なんて幼稚園生でも知ってる
わかっちゃいるけど、ってこういう時に使うんだななんて
いいんだ、そんな事はどうでも。
それよりも早く
一秒でも早く、
「ハァッ...ハアッ... カズくんっ...!!」
上履きのままで校庭へ飛び出して
「相葉ちゃん!? どーしたの!?」
「ハアッ.....俺っ...、」
伝えたい事と伝えなきゃいけない事の優先順位がわかんないや
「俺...! カズくんの事ナメてないから!
江戸っ子ナメたりしてないから...!」
何テンパってんだ
俺のバカ