第9章 貴方だけは消えないで
「勘のいい子ですよね、凄く。
会長とあの子の間に何があったのか気になるところではありますが...それは聞かない約束ですもんね」
「あぁ。聞かないでいてくれると大いに助かるよ」
やっぱり。気付かれてるよなぁ
そりゃそうだよね、そういうの得意そうだし。
頭の回転も速いもんね
俺がカズくんを避けてるって分かって、カズくんはどう思ったんだろう。
少なからずショックを受けたりもしたんだろうか
それとも、ムカついた?
あまつさえどうでもいいと思ってたりして...
「平野」
「なんでしょうか」
「やっぱり一旦保留にしといてくれないかな」
「...まぁいいでしょう
会長の思うようにやってみたら如何ですか。
今ならあの子、図書室に居るかと思いますよ。
野球部の練習、そこからが一番良く見えるって教えてあげたんで」
気付いたら生徒会室を飛び出して、図書室に向かって廊下を走っていた
階段を2段抜かしで飛び越えて
会ったらまずなんて言おうかなんて、そんな考えも頭からぶっ飛んだ状態で
今、会わなきゃいけない気がして
今、伝えなきゃ後悔する気がして。