第9章 貴方だけは消えないで
週が明けて、カズくんは本当にこの学校に編入してきた
平野の協力のおかげで直接会わずに済んだから、生徒会室の窓越しから遠目にその姿を確認しただけだったけど...
久しぶりに見たカズくんは、ブレザーの制服姿も手伝ってか少し大人びていて
髪も短くしたんだな、なんて
本音を言えば
話したい。
声を聞きたい。
触れたくてたまらない。
だけど
本来生徒会長の仕事である校内の案内を平野に任せて
俺はカズくんから逃げる事しか出来なくて
「あの二宮って子、思った以上に強者でしたよ」
「ツワモノ?」
『 学長の指示で、二宮君には私と同じ生徒会副会長のポストを用意しました。
副会長の仕事は会長の補佐だ。但し実際にそれを担うのは私で、貴方は肩書きのみ、という事で__』
『 それって会長の命令ですか?俺に会わない為の。
平野さんでしたっけ? 会長__相葉さんに、伝えて貰えませんかね
何でも一つ言うことを聞く約束だから、関わるなと言われれば今後一切関わらない
でも直接目を見て言わなきゃ無効だ、って。
それと、
江戸っ子ナメんな、って』