第9章 貴方だけは消えないで
「...参ったな」
学長室から生徒会室へと戻り、一人項垂れる
「参った。って、何がですか?会長」
「...!? なんだ、平野か...」
居るなら居るって言えよ
ってか視界に入って来い
「なんだ、とは何ですか
まったく最近の会長は...」
「なぁ平野」
「なんでしょうか?」
「ちょっと頼みがあるんだけどさ、」
学長にはああ言われたけど
やっぱりそこは阻止したい所で
なるべく近くに居ない方がいいんだ
カズくんの為にも
...自分の為にも。
平野には悪いけど
一芝居打ってもらおう
泣く子も黙る“銀縁メガネの副会長”
そんな異名を持つ平野だからこそ頼める事だ
「それは別に構いませんが、編入生って確か、大野君の...」
「良いんだ」
良いんだよ、もう
俺もおーちゃんみたいな恋がしたい
そんな風に思ってしまったこと自体間違いだったんだから